日本財団と福岡県が、障害者工賃の向上を目指す連携協定を締結
年間を通じて高収益が可能な仕組みを構築
日本財団と福岡県は、2021年7月に障害者工賃の向上に向けた連携協定を締結したことを発表しました。日本財団では2020年に宮城県と同様の協定を締結しており、今回が2県目となります。
この協定は、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)企業を通じて、福岡県内の企業などから受注を獲得し、県共同受注窓口を介して、県内の就労継続支援B型事業所などへ配分するというもの。年間を通じて高収益の仕事を安定的に配分することで、工賃向上をめざす取り組みの実施に伴い締結しました。この取り組みにより、福岡県内の就労継続支援B型の平均工賃は概ね倍増を目標としています。
成果を上げる鳥取県のモデル事業を参考にスタート
今回の取り組みのきっかけは、鳥取県のモデル事業の成果にあり、これを他県に展開するというものです。日本財団では、2016年度に鳥取県との共同プロジェクトの一環として県内就労継続支援B事業所の工賃3倍増を目標にして複数のモデル拠点の整備を行いました。
しかし、個々の事業所では人手や人材の問題から十分に営業活動が行えないため、年間を通じて安定した高工賃の仕事の確保が難しいうえに、単体では生産力が小さく企業ニーズに対応しきれないという課題がありました。
そこで鳥取県の共同作業所モデルでは、営業を外部に委託し、複数の事業所が参加することで作業分担をして共同で取り組む体制を構築しました。こうした体制の改善により、企業ニーズに対応できる生産力を確保。現在は30名ほどの障害者が参加し、2019年度には鳥取県の平均工賃月額の約3.6倍の工賃まで上げるという成果が出ています。
こうした成果を上げる鳥取モデルを参考にした、県共同受注窓口と協働体制に基づき県内事業所の特性や規模に応じたマッチングにより、高工賃の継続的な提供が可能な仕組みづくりを行う福岡県や宮城県でも大きな期待が寄せられています。