世界規模で障害者の活躍推進をめざす
500社に到達した「The Valuable 500」
2019年1月に開催された世界経済フォーラム年次総会「ダボス会議」で発足した「The Valuable 500(V500)」は、障害者が社会、ビジネス、経済において潜在的な価値を発揮できるような改革を起こすことを目的とした、世界500社のビジネスリーダーによって構成されるネットワーク組織です。
この度、V500への加盟企業数が目標である500社に到達しました。その内の50社は日本企業です。同組織は、Unilever PLC前CEOのポール・ポルマンが会長を務め、リチャード・ブランソン(Virgin Group会長)やジュリー・スウィート(Accenture PLCCEO)が活動をサポートするなど、グローバルなビジネスリーダーによって推進されています。公益財団法人日本財団はV500のグローバル・インパクト・パートナーとして、2021年から2023年までの3年間で500万ドル(約5.5億円)の支援を予定するなど、同組織の活動を後押ししています。
誰もが活躍できる社会の実現をめざし世界のビジネスリーダーが集結
世界の障害者人口は約10億人、障害者とその友人や家族を合わせた購買力の総額は13兆ドルに上ると言われています。非常に大きな市場ですが、障害者に配慮した商品等を提供する企業は3.6%と非常に少ないのが現状で、ビジネスチャンスを十分に生かしきれていないと言えます。また、企業で働く障害者に関する情報開示もまだ不十分です。日本においては障害者の法定雇用率が設定され、障害者雇用やその情報開示が進んでいますが、障害者が潜在能力を発揮して働く環境が十分整備されているとは言えず、企業間で知見を共有する場もありません。
V500は障害者を取り巻くこれらの課題をビジネスの視点から解決するために企業のネットワーク化を進めて来ました。今回500社に到達したことで募集を締め切り、今後は障害のある消費者のニーズ調査を実施して商品開発を後押しするほか、企業の障害者インクルージョンの度合いを測る指標づくりや、アクセシビリティに配慮した求人ポータルサイトの設置を行う予定です。また、国際機関等や加盟企業同士をつなぐネットワーク会議等を主宰し、知見の共有をめざすそうです。
V500創設者キャロライン・ケーシー氏は「500社のグローバル企業が参加し、障害者インクルージョンへの取り組みを取締役会の議題として取り上げることを約束する、という目標の達成を発表できることは素晴らしいことです」と述べ、日本財団会長の笹川陽平氏は「世界中の大企業を巻き込むV500の挑戦は、これまでの障害者支援にビジネスという異なる角度から新たな風を吹き込むことによって、誰もが参加できるインクルーシブな社会の実現に近づくことを期待しています」と述べました。
雇用・製品サービスが障害者にも不自由なくアクセスできる「障害者インクルージョン」。今後はその実現に向けて、日本企業50社を含む500社が力を合わせて様々な取り組みを実施していくことが期待されています。