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改正障害者差別解消法が成立

民間事業者の合理的配慮提供が義務化

今年の5月に可決、成立し、6月4日に公布となった「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」改正法。これまでは合理的配慮を義務とされていたのは国や自治体だけで、民間事業者には努力義務でしたが、今回の改正によって民間事業者に対しても義務化されることになりました。

これまでも、民間事業者は「障害者雇用促進法」によって、従業員に対してのみ合理的配慮の提供が義務付けられてきました。募集・採用、賃金、配置、昇進、降格、教育訓練などにおいて、障害があることを理由に不利な条件にすることなどは差別にあたるとして、禁止されています。

今後は、すべての障害者を対象にしている「障害者差別解消法」が改正されたことによって、雇用している障害のある従業員だけでなく、サービスや商品の利用者、顧客など、その他の障害者に対しても配慮の提供が義務化されることになります。

誰もが共生できる社会の実現に向けて

障害者差別解消法は、障害による差別を解消し、誰もが分け隔てなく共生する社会を実現することを目的に2016年4月に施行されました。不当な差別の禁止、合理的配慮の提供義務について定められた法律です。

障害者差別解消法や障害者雇用促進法が定義する障害者は、単に障害者手帳を持っている人だけに限りません。身体・知的・精神等の困難で、日常生活や社会生活に制限を受けている人すべてが対象となります。そこで定められている合理的配慮とは、公平・公正な環境を用意することで、障害のある人とそうでない人の機会や待遇を平等に確保し、支障となっている事情を改善、調整するための措置です。

今回の改正によって民間事業者は、例えば、障害を理由にした店舗への入店、サービスの提供の拒否、周囲の支援者や介助者のみに話しかけるなどは差別にあたり、改善しなければいけません。また、段差がある場合にスロープの設置、タブレットや手話通訳、筆談、音声ガイドによる情報保証などの配慮が求められるようになります。「過重な負担」となる場合には提供する義務はないとされていますが、積極的に障害者と向き合い、「できない」ではなく「できる」ことを行うことが求められます。

現状、差別解消をめぐる自治体の相談窓口がわかりづらく、相談者がなかなか窓口に到達できないことが問題視されています。そこで、今後は国と地方自治体の連携協力の責務規定を新設し、当事者や民間事業者からの個別相談に対応できる体制の整備、紛争防止や解決にあたることができる人材の育成・確保が進められる見込みです。

この改正法は公布日(2021年6月4日)から起算して3年以内に施行されます。

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