公共交通機関におけるバリアフリー化推進
障害者用ICカードを関東の鉄道で2022年後半に導入
国土交通省では、このほど国土交通大臣指示によるバリアフリーに対する取り組みについて、その内容を公表しました。具体的な大臣指示の内容は、以下の4つです。
【新たなバリアフリーの取り組み4項目(国土交通省)】
・障害者用ICカードの導入
・特急車両における車椅子用フリースペースの導入
・ウェブによる障害者用乗車船券等の予約・決済の実現(マイナポータルとの連携を含む)
・精神障害者割引の導入促進
障害者用ICカードは、これまでは交通料金の割引を受けるにあたって、その都度「障害者手帳」の提示が求められてきましたが、このICカードを使用することで自動的に割引運賃で精算されるようになります。すでに関西圏の民営鉄道・バスや、西日本鉄道グループの鉄道・バス等では導入されており、関東の鉄道事業者間においても、2022年度後半の導入をめざすことで合意されました。現在、システム改修など実務的な検討に着手をはじめ、また関東圏のバスについても、その導入に向けて議論を進めていく予定です。
また、特急車両における車椅子用フリースペースについては、一部の最新型新幹線などですでに進められていますが、その他の特急車両についても計画的に推進していきます。
その他、ウェブによる障害者用乗車船券等の予約・決済は、知的障害者の資格情報のマイナポータル連携も想定し。精神障害者割引の導入促進とともに進められる予定です。こちらもすでに一部の鉄道等では始められており、ともに今後は具体的な方向や目標などを検討していきます。
真の共生社会の実現をめざして
こうした取り組みは、真の共生社会の実現に向けて、今年度から新たに策定された5年間の「バリアフリー整備目標」(第3次目標)に基づき推進されています。同省では鉄道駅のエレベーターやホームドア整備の加速化等、ハード面を中心とするバリアフリー化を進めています。
同省では、「さらに、こうしたハード面の取り組みに加え、障がいの有無や特性に関係なく、すべての人が同じように便利で安心な公共交通機関を利用することができるように、デジタル新時代を見据えつつ、バリアフリー施策を段階的に高度化していくことが重要」だとしています。そうした取り組みの第一弾として、まずは前出の4項目について進めていくことになりました。
これらの4項目は以前から障害当事者団体から継続的に要望が出されてはいましたが、技術的課題の存在等によって一部事業者の対応に限られていたものです。しかし、障害者の利便性改善や負担軽減効果の大きさを考えると実現は不可欠とし、官民連携による課題解決を図り、この度全国展開をめざすことになりました。
今後も、これらの早期実現に向けて、同省からは具体的な目標、計画、方法等が示される方針です。