聴覚・発話障害者の通話を支援
聞こえる人と聞こえない人を電話でつなぐサービス
聴覚・発話障害者と、それ以外の方の即時通話を可能とする「電話リレーサービス」が2021年7月から開始されます。それに先立ち、総務省では「電話リレーサービス」に関する周知広報を本格的に開始しました。固定・携帯電話サービスを提供する事業者の協力を得つつ、電話利用者に制度を広報しています。
この電話リレーサービスは、2020年に成立した「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律」に基づいて提供されます。このサービスが始まることで、聴覚や発話に障害のある人でも、手話通訳サービスオペレータなどを介して24時間365日、即時通話ができるようになります。同様のサービスは、これまでも民間事業者などで提供されてきましたが、今回初めて公共インフラとして制度化されることになりました。
電話リレーサービス利用の流れは、以下の通りです。
聴覚・発話障害のある方が電話 → 通訳オペレータに接続 → 通話相手に接続
聴覚・発話障害のある方が発信した手話や文字をオペレータが通訳し、音声で通話相手に即時に伝えます。逆に通話相手が音声で発信した内容は、オペレータが手話や文字にして聴覚・発話障害のある方に伝えます。
公共インフラとしての電話リレーサービスによって通話相手との双方向発信が可能になることで、病院や警察、消防署などへの緊急通報、お店への予約、家族・友人との連絡など、スムーズなコミュニケーションが可能となります。
電話リレーサービス制度の概要
聴覚・発話障害者による電話の利用を円滑化するために、2020年12月1日に施行された「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律」(令和2年法律第53号)において、公共インフラとしての電話リレーサービスを適正かつ確実に提供することができる者を、総務大臣が「電話リレーサービス提供機関」として指定することとなっています。
更に、「電話リレーサービス提供機関」に対し、業務に要する費用に充てるための交付金を交付することとしており、その原資となる負担金を、電話サービスを提供する電話提供事業者に納付するよう義務付けております。
この際、交付金の交付や負担金の徴収業務が、公平かつ中立的に行われる必要があることから、総務大臣が「電話リレーサービス支援機関」として指定する者に対し、公正中立性や業務の透明性を確保する観点から業務を実施することとしています。
つまり、電話提供事業者が負担金を納付し、負担の徴収・交付金の交付等を業務とする電話リレーサービス支援機関を通じて、電話リレーサービス提供機関に交付金として交付する仕組みとなっています。
2021年度の交付金の額は約15億4300万円で、これを負担対象事業者の電話番号の数で割ると、1番号あたり年間合計約7円となっています。電話利用者は「電話リレーサービス料」という形で、年間7円を、電話料金に加算して支払うことになります。