委託訓練ってどんな支援策なの?
企業や社会福祉法人で就業に必要な技能やスキルを習得
障害者が就業に必要な技能やスキルの開発・向上を図る支援策として職業訓練があります。障害者の職業技能を磨く障害者職業能力開発校から、企業や社会福祉法人、NPO法人、民間教育訓練機関に委託し行っているのが「委託訓練」といいます。この支援策の実施主体は国や都道府県になり、企業や社会福祉法人などと委託契約を結ぶことで、障害者が住む身近な地域で多様な職業訓練を受けられるようになります。
対象者は、障害者手帳を有する人、医師の診断書や意見書などにより障害を有することが確認できる人となっています。また、訓練期間は原則3カ月以内、月に100時間以内が標準となっています。また、委託先に対しては、職業訓練受講生1名につき原則月額6万円または、9万円を上限に委託料が支払われます。
5つのコースから目的に合ったスキル向上をめざす
では具体的に、この委託訓練ではどのような技能を学ぶことができるのでしょうか。その訓練コースは次の5種類があります。
1.知識・技能習得訓練コース
就職に必要な知識・技能の習得をめざします
※職場実習を一体的に行い、実践的な職業能力の習得をめざすデュアルシステムの実施も可能
2.実践能力習得訓練コース
雇用を検討している企業等を委託先とし、実際の職場環境を活用した実践的な職業能力の習得をめざします
3.e-ラーニングコース
訓練施設への通所が困難な障害者の方を対象に、在宅でインターネットを通じてIT技能の習得をめざします
4.特別支援学校早期訓練コース
企業等を委託先として事業所現場を活用して、特別支援学校高等部等に在籍する生徒を対象に実践的な職業能力の開発・向上をめざします
5.在職者訓練コース
企業等で働いている障害者が雇用の継続と職域拡大を目的として必要な技能のスキルアップをめざします
これらの多様なコースは、企業と求職者双方のニーズに応じた訓練に通じています。
また、受講料や応募資格について紹介します(東京都の場合)。
受講料は無料となっておりますが、通所にかかる交通費や昼食代は自己負担です。求職者向けの応募資格については以下の5項目にすべて該当する方になります。
1.身体障害者手帳、愛の手帳(療育手帳)、精神障害者保健福祉手帳のいずれかをお持ちの方。知的障害、精神障害、発達障害、高次脳機能障害、難病等があり、公的な判定書(意見書、診断書)、難病指定の医療受給者証等をお持ちの方
2.居住地管轄のハローワークに求職申込を行い、訓練受講の推薦を受けた方。(中途障害等で休職中の方は要相談)
3.職業訓練を通じて就労しようという意思のある方
4.障害の症状が固定もしくは安定しており、訓練受講に支障のない方
5.訓練施設まで通所ができる方
※e-ラーニングコースについては、上記1から5の要件に加え、都内在住で訓練施設への通所が困難な障害者等の方が対象
なお、在職者向けの応募資格は以下の4項目に該当する方です。
1.身体障害者手帳、愛の手帳(療育手帳)、精神障害者保健福祉手帳のいずれかをお持ちの方
2.都内在住または都内在勤の方
3.雇用の継続が見込まれる方
4.勤務先の承認が得られる方