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「技能を競い合う」アビリンピックの“その先”の目的

参加選手数は増加し訓練施設からだけでなく企業在籍者も多く参加

2019年の「全国アビリンピック(第39回アビリンピック)」は、11月15日(金)〜17日(日)までの3日間、愛知県常滑市で開催されます。実施機関は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)です。

大会の正式名称は「全国障害者技能競技大会」。アビリンピック(ABILYMPICS)は、「アビリティ(ABILYTY=能力)」と「オリンピック(OLYMPICS)」を合わせた愛称で、大会を親しみやすいものにするため使われています。

アビリンピックの目的についてJEEDでは、「障害のある方々が、日頃培った技能を互いに競い合うことにより、その職業能力の向上を図るとともに、企業や社会一般の人々に障害のある方々に対する理解と認識を深めてもらい、その雇用の促進を図る」と謳っています。

第1回大会は1972年、千葉県で開催されました。以来、原則として国際アビリンピックが開催される年度を除き毎年開催され、今回の愛知大会で39回を数えます。1997年の第22回大会からは知的障害者、2006年の第29回大会からは精神障害者の参加が始まりました。

実施職種数は15から始まり、現在は技能競技23種目と技能デモンストレーション2職種。参加選手数は、2016年から300人台後半がつづいており増加傾向を示しています。雇用とのつながりは数値化されていないものの、参加者には、訓練施設などからにとどまらず企業在籍者も少なくありません。

参加選手の選抜は、全国大会の年に行われます。選抜の場は、都道府県に置かれているJEEDの支部が毎年実施している「アビリンピック」の地区大会。成績優秀者が代表選手となり、全国大会前には自治体で結団式も行われます。大会の表彰は、金賞・銀賞・銅賞・努力賞の4カテゴリーです。

国際アビリンピックは国別メダル獲得競争の場ではない

アビリンピックの全国大会が国民体育大会だとすれば、ほぼ4年に1度開催される国際アビリンピックは、オリンピック・パラリンピックといってよいでしょう。

第1回国際アビリンピックは、国連が定めた「国際障害者年」を記念し、1981年10月21日〜23日までの3日間、東京で開催されました。22日に行われた職能技術競技には、49の国と地域から304人が参加。76名の日本選手団は、金賞11・銀賞12・銅賞8と計31の受賞(メダル)を獲得しました。2位が韓国の10、3位がチャイニーズ台北の3ですから相当の開きがありました。これは、1972年から実施されてきた国内アビリンピックの成果です。

ただ、国際アビリンピックは、決して国別でメダル数の獲得競争をする場ではありません。前項に記したとおり、JEEDではアビリンピックの目的について、冒頭で「障害のある方々が、日頃培った技能を互いに競い合うことにより、その職業能力の向上を図る」としています。このように「競い合う」ことはあくまでも“手段”であり、真の目的はそれを通じて達成する「職業能力の向上」、ひいては「障害者の雇用の促進と拡大」にあるのです。ここがオリンピック・パラリンピックとアビリンピックのもっとも異なる点です。

国際アビリンピックの目的も、趣旨はJEEDとほぼイコール。第1回の開催以降、参加各国・地域(未参加国・地域も)、日本のように国内大会の創設や充実に力を入れるようになりました。その成果は、日本のメダル数が他を圧倒することのなくなったことでもわかるはずです。ちなみに、2016年のボルドー(フランス)大会でのメダル獲得数は、参加17種目(全48種目)で金賞2・銀賞3・銅賞5の10という結果でした。

ボルドー大会のテーマの1つは、「1人に1つのスキルと1つの仕事」であり、障害者の雇用に力を入れたものでした。彼らは国際舞台で技能を競うことにより、自国の障害者雇用を少しでも前へ進めようとしています。

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