在宅就業障害者支援制度とは?
在宅就業障害者支援制度とは在宅就業障害者の就業機会拡大に貢献する制度です
「在宅就業障害者支援制度」とは、自宅もしくは福祉施設などで働く在宅就業障害者に仕事を発注する企業に対して、障害者雇用納付金制度からの助成金を支給する制度です。
障害者の就業機会拡大を図るために障害者雇用促進法に定められ、2006年より導入されました。
2015年4月には小口発注も支給対象となるよう算定方法を見直し、35万円以上の発注があれば、特例調整金等が申請できるようになりました。
これにより、企業からの仕事の発注を受けやすくなりました。
2018年4月の法定雇用率改正により、障害者雇用率制度や障害者雇用納付金制度の対象者と同様、以前から対象だった身体障害者、知的障害者に加えて、精神障害者(精神障害者保健福祉手帳所持者)も対象となりました。
この制度の助成金は特例調整金と特例報奨金の2種類に分かれています。
・特例調整金
障害者雇用納付金の申告事業主を対象とし、同制度が対象とする常時雇用労働者数が100人を超える事業主向けのものとなります。
・特例報奨金
障害者雇用納付金制度における報奨金制度の申請事業者がその対象となり、報奨金の申請資格が与えられている、常時雇用労働者数が100人以下で一定数以上の障害者を雇用している事業主向けのものです。
同じように、企業が在宅就業支援団体(在宅就業障害者に対する支援を行う団体として厚生労働大臣に申請し、登録を受けた法人)を介して在宅就業障害者に仕事を発注する場合も、特例調整金・特例報奨金を支給しています。
自宅以外で就業する場合にも対象
在宅就業障害者支援制度という名称ですが、勤務場所が自宅である必要は必ずしもありません。自宅の他にも、福祉施設や小規模作業所などの自宅以外で就業する場合も対象となります。
・障害者が業務を実施するために必要な施設及び設備を有する場所
・就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練等が行われる場所で、具体的には障害者総合支援法に基づく「就労移行支援事業」を実施する施設
・障害の種類及び程度に応じて必要な職業準備訓練が行われる場所
・その他これらの類する場所
また、在宅就業支援団体として登録を行うためには以下の条件を満たしている必要があります。
・在宅就業障害者に対して、就業機会の確保、提供ほか、職業講習、就業支援等の援助を行っている法人であること
・常時10人以上の在宅就業障害者に対して継続的に支援を行うこと
・障害者の在宅就業に関して知識および経験を有する3人以上の者を置くこと(うち1人は専任の管理者とすること)
・在宅就業支援を行うために必要な施設および設備を有すること
なお、初回の登録には登録免許税(1万5千円)の納付が必要になります。
このような厳しい条件を満たすことが義務付けられているため、2019年現在、登録を受けている在宅就業支援団体は全国で20団体と少なく、その中の多くは特定非営利活動法人や社会福祉法人で占められており、民間企業はわずか2社にとどまっているのが現状です。
また、在宅就業障害者に直接発注を行う場合は、事業主の事業所は以上のような条件に該当したとしても在宅就業とはみなされず、制度の対象から除外されます。
企業でもテレワークを導入する企業は年々増えてきており、今後も更に増え続けると予想されています。
さらなる民間企業での在宅就業支援団体を増やすためには、制度の対象条件も緩和するなど、再度見直すことが必要とされてきています。
このように事業所での就労だけでなく、在宅就業などの支援を行うことで、障害者の就労機会の増大を図っています。