
企画競争型認定ってなに?
事業主から公募の事業計画に対し高評価順に助成金を支給
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、法定雇用率未達成の事業主など(主として民間企業)から「障害者雇用納付金」を徴収しています。そしてこれを財源として行っているのが、各種の障害者雇用助成金給付にかかわる事業です。
同機構では「障害者雇用納付金制度に基づく助成金の申請・支給」について、2012年「企画競争型」という認定方式をスタートさせました。
助成金の目的は、雇用率達成企業の経済的負担を軽減することで、さらなる雇用の促進や継続の一助にしようというものです。ただ、納付金は無尽蔵にあるわけではありませんから、すべての申請に対して支給するのは不可能。そこで考案されたのが、「企画競争型」認定という、いわば「コンペ方式」です。同機構ではこのことを「限りある財源を最大限有効に活用し、また、助成金支給後の対象障害者の雇用継続や対象施設設備などの活用など、より効果的な助成金支給業務を行うため、一部助成金について『企画競争型』認定を実施する」とリーフレットに記しています。
申請の受理期間は四半期(3月・6月・9月・12月の1日〜14日)ごとです。公募した「事業計画(施設・設備整備内容や雇用管理上の配慮など)」について、評価の高い順から予算の範囲内で認定。なお審査と評価は、同機構および機構外部の委員で構成される助成審査委員会が行います。
ただし、2017年度以降においては、四半期ごとの公募ではなく、随時、認定申請を受付け、審査を行うことになっており、2020年度においても随時受付ることになっています。
6種の助成金中、申請数が圧倒的なのは「第1種作業施設設置等助成金」
「企画競争型」の対象となるのは、以下の6つ。
1.第1種作業施設設置等助成金
2.第2種作業施設設置等助成金
3.障害者福祉施設設置等助成金
4.重度障害者等通勤対策助成金(通勤用バス購入助成金)
5.重度障害者等通勤対策助成金(通勤用自動車の購入助成金)
6.重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金
(1)の“第1種”とは「作業施設等の設置・整備を建築等や購入により行う場合の助成金」、(2)の“第2種”とは「作業施設等の設置・整備を賃貸により行う場合の助成金」です。
第1回の公募では、(1)〜(4)までの助成に認定申請があり、結果は次のとおりでした。
1.認定申請39件、認定27件
2.同11件、同3件
3.同4件、同0件
4.同1件、同0件
認定申請55件、認定30件でした。
申請件数で常に群を抜いているのが(1)。視覚障がい者用の拡大読書器・画面拡大ソフト・画面読み上げソフトの購入や、身体障がい者用トイレの新設・改修、スロープ設置、自動ドアリモコンスイッチ設置などにあたります。
また、「企画競争型認定の対象となる助成金は、予算の範囲内で認定するため、今回認定となった事例と同種の取り組みを行った場合であっても、今後の企画競争で必ず認定されるとは限りません」とも規定されています。評価は点数制で、最高が5点、最低が1点。予算の範囲を超えない場合は、1点以上がすべて認定されることがあり、一方、予算の範囲を超えた場合は、1点でも認定されないことがあります。
随時、認定申請を受付ける現在の方法になる直前の期間で申請され受理されたのは37件[(1)36件(3)1件]で、認定は(1)23件(3)0件でした(結果発表は6月9日)。認定例として、身体障がい者(両上下肢障がい)用トイレの新設・スロープ設置、玄関のスロープ設置・カーポート付き駐車場の設置、拡大読書器・画面拡大ソフト・画面読み上げソフトの整備などでした。