就業支援における知識・技術の向上をめざす
実践的な知識の向上を図る課題別セミナーを開催
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、2016年度から障害者の就業支援における新たな課題やニーズに対応した知識・技術の向上を図るための「就業支援課題別セミナー」を実施しています。
2019年度のセミナーは、「高次脳機能障害者の就労支援」をテーマに10月に開催されました。対象となるのは、障害者の就労や雇用に関する支援を担当しており、高次脳機能障害者に対する就業支援の実務経験を有する方。これは、高次機能障害者に対する就業支援の実務経験があり、基礎的な知識があることを前提とした内容になっているためです。
今回のセミナーの内容は以下の通りです。
・精神科医療と高次脳機能障害
・高次脳機能障害に対するアセスメント
・医療、生活支援、就労支援の各機関の連携
・社会的行動障害のある高次脳機能障害者への支援
・ケーススタディ
また、同セミナーでは2日間にわたり、4つの講義、意見交換会、事例検討の計6カリキュラムが行われました。
1.アセスメントの視点を学ぶ(1)〜アセスメントの基本を学ぶ〜
2.アセスメントの視点を学ぶ(2)〜幕張版ワークサンプルを知る・体験する〜
3.ジョブマッチングを学ぶ 〜求職活動支援のノウハウ〜
4.アセスメントの視点を学ぶ(3)〜幕張版ワークサンプルの実践編〜
5.職場復帰支援について学ぶ 〜精神障害・高次脳機能障害者に対する職場復帰までの支援ノウハウについて〜
6.定着に向けた対象者及び、事業主への支援技法を学ぶ 〜定着支援に活用できる支援技法を学ぶ〜
いずれも実践的な知識、技術の向上に役立つ内容となっています。
就業支援担当者の段階に合わせた研修体系
同機構では、労働、福祉、医療・保健、教育などの関係機関において障害者の就業支援を担当する方を対象に、ステップアップ方式の研修を行っています。この「就業支援課題別セミナー」も、そんな研修体系の一環です。
就業支援を初めて担当する方向けには、「就業支援基礎研修」を用意しています。職業リハ ビリテーションを実施するために必要な基本的知識・技術等(就業支援の基本的知識・理念、就業支援に関する制度、地域における関係機関の役割と連携方法および企業における障害者雇用など)の習得を目的としています。これは、地域障害者職業センターが各都道府県で実施します。
この基礎研修を終えた方が受講するのが、前述の「就業支援課題別セミナー」ですが、そのほかに2年以上の実務経験がある方を対象に、障害別の就業支援に関する実践力の修得を目的とした「就業支援実践研修」があります。これは全国12エリアの地域障害者職業センターが実施しています。
さらに次のステップとして、3年程度以上の実務経験を有する就業支援担当者を対象に行われるのが「就業支援スキル向上研修」です。これは障害者職業総合センターで実施され、一定程度の就業支援経験を土台に、障害特性に応じた支援スキルの向上を目的としています。
同機構では、これらの研修、セミナーを段階的に受講することを勧めています。