障害者の雇用の伸びについて考える
ハローワークを通じた就職件数が10年連続で増加
2019年度、障害者の職業紹介状況が発表されました。発表では、ハローワークに新規で求職の申し込みを行った障害者数は21万1271件、前年度比4.5%増となりました。同じく就職件数は、4.6%増(4504件増)で10万2318となり、10年連続で増加しました。また、就職率(就職件数/新規求職申込件数)は対前年度差0.0ポイントの48.4%となり、ほぼ前年並みでした。
今回の調査では、精神障害者の就職件数が身体障害者を大幅に上まわったことがわかります。知的障害者の場合も、就職件数の増加率、および就職率において、身体障害者を上まわる結果になりました。以下、その数字を紹介しましょう。
身体障害者の新規求職申込件数は6万1218件で、前年比1.1%増。就職件数は2万6841件で同0.3%増。就職率は43.8%で同0.4%減でした。
一方、知的障害者の新規求職申込件数は3万5830件(0.2%増)、就職件数は2万2234件(5.9%増)、就職率は62.1%(3.4%増)であり、精神障害者の新規求職申込件数は10万1333件(8.1%増)、就職件数は4万8040件(6.6%増)、就職率は47.4%(0.7%減)です。
どのような産業、どのような職業に就いているのか
障害者の職業紹介状況では、産業別・職業別の就職状況が発表されています。今回の調査結果における、産業別の就職件数をみてみましょう。多い順に、「医療、福祉」(3万5541件、構成比34.7%)、「製造業」(1万4510件、同14.2%)、「卸売業、小売業」(1万2607件、同12.3%)、「サービス業」(1万868件、同10.6%)となりました。
つぎに、障害種別の就職先を紹介します。知的障害者の場合、就職先で多くなった3つの産業は「医療、福祉(32.2%)」「製造業(18.3%)」「卸売、小売(15.5%)」となりました。また、精神障害者の就職先は「医療、福祉(38.4%)」「製造業(12.6%)」「卸売、小売(12.1%)」で構成されました。身体障害者では、「医療、福祉(30.6%)」「製造業(13.3%)」「サービス(11.4%)」となりました。
では、知的障害者と精神障害者は、どのような職業に就いているのでしょう。割合が多くなったものを挙げると、前者は「運輸・清掃・梱包などの職業(47.9%)」「生産工程の職業(16.0%)」「サービスの職業(14.1%)」で、後者は「運輸・清掃・梱包などの職業(33.9%)」「事務的職業(24.6%)」「サービスの職業(11.7%)」となっています。
なお、身体障害者の場合は「事務的職業(27.7%)」「運搬・清掃・梱包などの職業(24.7%)」「サービスの職業(11.6%)」が上位3つを占めました。
また「専門的・技術的職業」では、身体障害者は10.7%、精神障害者は6.7%である半面、知的障害者は1.1%でした。
都道府県別の就職状況をみてみると、5府県(京都・和歌山・岡山・広島・福岡)を除いた各都道府県において、就職件数が前年度よりも増加しました。就職件数が最も多かったのは、東京都で7,282件(前年度より473件増加)。次いで、大阪府が8,329件(前年度より418件増加)、愛知県が5,542件(前年度より53件増加)とつづきました。