職場で改善が必要なことは?
「平成30年度障害者雇用実態調査結果」からわかること
厚生労働省では民営事業所における障害者の雇用の実態を把握し、今後の障害者の雇用施策の検討や立案に役立てることを目的に、5年に1回、障害者雇用実態調査を実施しています。その最新版である「平成30年度障害者雇用実態調査結果」が発表されました。
調査は、常用労働者5人以上を雇用する民営事業所のうち、無作為に抽出した約9,200事業所が対象となっています。回収数は、6,181事業所(回収率67.2%)でした。調査では、働く障害のある人に対して調査を行っており、職場で改善が必要なことや、障害者雇用上の課題及び配慮についてまとめられています。
今回初めて、発達障害者についても他の障害と同様の調査を行いました。
障害者を雇用するに当たっての課題としては、以下のような結果になりました。
雇用上の課題については、障害内容にかかわらず、いずれも60%以上が「ある」としています。
その中で、課題として回答されたもので多かった内容を紹介します。最も多かった課題は、「会社内に適当な仕事があるか」で70%以上を占め、次いで「障害者を雇用するイメージやノウハウがない」と続いています。
その他には「職場の安全面の配慮が適切にできるか」「採用時に適性、能力を十分把握できるか」「従業員が障害特性について理解することができるか」「給与、昇級昇格等の処遇をどうするか」「勤務時間の配慮が必要か」「配置転換等人事管理面での配慮が必要か」「通勤上の配慮が必要か」などが課題として挙がっています。
雇用している障害者への配慮事項
障害者の雇用上の配慮については、身体障害、知的障害、精神障害において50%以上が「配慮している」としています。一方で、発達障害については「配慮している」と回答したのは40.3%となりました。具体的な配慮の内容としては、身体障害では「通院・服薬管理等雇用管理上の配慮」が、知的障害、精神障害、発達障害においては「短時間勤務等勤務時間の配慮」が最も多くなりました。
その他の配慮として、「休暇を取得しやすくする、勤務中の休憩を認める等の休養への配慮」や「職場内における健康管理等の相談支援体制の確保」、「能力が発揮できる仕事への配置」、「工程の単純化等職務内容の配慮」、「配置転換等人事管理面についての配慮」、「業務遂行を援助する者の配置」、「業務実施方法についてのわかりやすい指示」などが挙げられています。
さらに、企業が関係機関に期待する取り組みとして、「障害者雇用支援設備・施設・機器の設置のための助成・援助」(身体障害)、「具体的な労働条件、職務内容、環境整備などが相談できる窓口の設置」(知的障害、精神障害、発達障害)が最も多くなっていました。