「障害のある学生の修学支援に関する実態調査」について
障害学生の現状
「障害のある学生の修学支援に関する実態調査」は、独立行政法人日本学生支援機構が主体となり、2005年度から毎年、全国の大学、短期大学および高等専門学校を対象に行われています。回収率は、調査を開始した2005年度が90.5%、2006年度が93.8%、2007年度からは回収率100%を達成しています(2012年度のみ、閉校となる大学1校が未回答)。
2016年4月の障害者差別解消法施行を受け、全国の大学等では障害学生支援の体制づくりが着々と進められています。そうした中で、障害学生の状況及びその支援状況の把握は、支援内容の検討、充実を図るうえで欠かせないこととなっています。
「2018年度の結果報告書によると、2018年5月1日現在における障害学生数は、33,812人(前年度31,204人)で、全学生数の1.05%(前年度0.98%)。障害学生在籍校数は941校(前年度914校)で、全学校数1,169校の80.5%(前年度78.1%)。
通学の最高年次に在籍していた障害学生は(平成29年5月1日現在)6,165人で、2018年度の卒業生は4,609人(前年度4,021人)と、いずれも増加しており、各大学等において障害学生の把握が一層進んだといえます。
障害学生の障害種別をみると、最も多いのは「病弱・虚弱(内部障がいなど)」11,151人(前年度10,443人)で、次いで「精神障害」8,770人(前年度8,289人)、「発達障害」6,047人(前年度5,174人)、「肢体不自由」2,478人(前年度2,555人)、「聴覚・言語障害」1,972人(前年度1,951人)となっています。
障害学生への授業支援について
障害学生への授業に関する支援を実施している学校は782校で、前年の741校より41校の増加。支援実施状況を障害種別に見ると、多い順に「発達障害」518校、「精神障害」474校、「病弱・虚弱」433校でした。最も多くの学校で実施されているのが「配慮依頼文書の配布」513校で、次いで「教室内座席配慮」496校、「出席に関する配慮」397校、「実技・実習配慮」369校、「講義に関する配慮」356校となっています。
また、障害種別に上記5項目以外で行われている支援は以下の通りです。
■視覚障害では「教材の拡大」117校、「試験時間延長・別室受験」85校、「解答方法配慮」75校。
■聴覚・言語障害では「FM補聴器・マイク使用」187校、「ノートテイク」153校、「注意事項等文書伝達」120校。
■肢体不自由では「使用教室配慮」172校、「専用机・イス・スペース確保」172校、「試験時間延長・別室受験」129校。
■病弱・虚弱では「学外実習・フィールドワーク配慮」82校、「授業内容の代替、提出期限延長等」69校。
■発達障害では「学習指導」196校、「履修支援」185校。
■精神障害では「授業内容の代替、提出期限延長等」136校「試験時間延長・別室受験」118校など。
その他にも、障害の内容に応じたさまざまな支援が行われていることが推察されます。また、授業以外の支援として、専門家によるカウンセリングや医療機関との提携、自己管理指導、対人関係配慮、居場所の確保などが行われており、多角的な支援が実施されているようです。
障害のある学生がより良い環境で学生生活を送ることができるよう、各校における支援の、より一層の充実が望まれます。