
企業数・障害者雇用数ともに増加傾向にある特例子会社
年々増加する特例子会社
障害者の雇用に特化し、その雇用を促進する特例子会社ですが、こちらの企業数や障害者雇用数は年々、増加傾向にあります。2019年6月1日現在、特例子会社は全国で517社あり、前年よりも31社増加しています。特例子会社で働く障害者数は3万6,423.5人で、そのうち身体障害者が1万1,939.5人(前年から461人増)、知的障害者が1万8,885.5人(前年から2,674.5人増)、精神障害者が5,949.5人(前年から1,121人増)という内訳でした。
この特例子会社における障害者の雇用形態や職種について、株式会社野村総合研究所の「障害者雇用及び特例子会社の経営に関する実態調査」(2018年12月)では、次のような調査結果が出ています。
※調査期間:2018年8月5日〜2018年9月7日
※調査対象:特例子会社464社
広がりつつある職域
まず雇用形態では、定年制の正社員として働いている障害者は、身体障害者が2,385人、知的障害者が3,422人、精神障害者が1,067人。また、契約社員・準社員・パート・アルバイト・嘱託社員等にあたる常用雇用労働者のうち、契約期間の定めがあり、その契約が反復更新される者は、身体障害者が790人、知的障害者が2,157人、精神障害者が867人という結果でした。
次に業務内容について、最も多かったものが事務補助で79.1%(155社)、次いで、清掃・管理が50.0%(98社)でした。その他の業務内容については以下のような結果がでています。製造(機械・食品等)23.5%、物流20.4%、サービス16.8%、情報システム15.8%、クリーニング14.3%、福祉・医療12.2%、農業1.0%
特例子会社で働く障害者の平均年収について紹介します。調査結果によると、もっと多くの割合を占めるのは、151〜200万円で33.8%(67社)でした。そして、201〜250万円(26.3%、52社)、101〜150万円(19.7%、39社)と続きました。
また、特例子会社における障害者の雇用において、各企業が課題に感じていることについては以下の内容が挙げられました。多く挙げられたものから順に紹介します。「障害者採用における量的・質的確保(44.3%)」「障害者の作業能力の向上(33.0%)」「障害者のキャリアパスの整備(27.3%)」「職場における社員間の人間関係(25.3%)」「障害者の生活や家庭の問題への対応(23.2%)」「障害者の業務の割り振り・配置(22.7%)」「障害者の健康管理(22.7%)」「障害者への評価制度の整備(19.6%)」「勤怠に問題のある社員への対応(18.6%)」「障害者への処遇(賞与・手当)の整備(14.9%)」「障害者の賃金設定(12.4%)」「採用する障害者の人材要件の明確化(8.2%)」
一方で、障害者の能力開発への取り組みとしては障害の内容にかかわらず、「障害者社員のモチベーションを維持・向上させる」がもっとも多くなりました。