障害者差別禁止指針ってなに?
改正障害者雇用促進法に基づく2つの指針を発表
厚生労働省は改正障害者雇用促進法に基づく「障害者に対する差別の禁止に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」(障害者差別禁止指針)と「雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会若しくは待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置に関する指針」(合理的配慮指針)を策定し、2015年3月25日に告示しました。
その後、2016年4月(一部公布日又は平成30年4月)より施行されました。2つの指針内容については以下のような内容となっています。
障害者の就労環境に大きな影響を与える内容
まず、障害者差別禁止指針は、すべての事業主を対象に、募集や採用に関して障害者であることを理由とする差別を禁止することを定めています。また、事業主や同じ職場で働く人が、障害特性に関する正しい知識の取得や理解を深めることが重要であること、募集・採用、賃金・配置、昇進、降格、教育訓練などの項目で障害者に対する差別を禁止するとしています。
募集・採用においては以下のような例が挙げられます。
・障害者であることを理由として、障害者を募集または採用の対象から排除すること。
・募集または採用に当たって、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと。
・採用の基準を満たす人の中から障害者でない人を優先して採用すること。ただし、次の措置を講ずることは、障害者であることを理由とする差別に該当しないとしています。
・積極的差別是正措置として、障害者を有利に取り扱うこと。
・合理的配慮を提供し、労働能力などを適正に評価した結果、異なる取扱いを行うこと。
・合理的配慮の措置を講ずること。 など
合理的配慮指針では、すべての事業主を対象として、募集や採用時には障害者が応募しやすいような配慮を、採用後は仕事をしやすいような配慮をすることなどを定めています。今回の指針では合理的配慮について、個々の事情を有する障害者と事業主との相互理解の中で提供されるべき性質のものと捉えています。
募集・採用時、採用後においては以下のような例が挙げられます。
・募集内容について、音声などで提供すること。(視覚障害)
・面接を筆談などにより行うこと。(聴覚・言語障害)
・机の高さを調節することなど作業を可能にする工夫を行うこと。(肢体不自由)
・本人の習熟度に応じて業務量を徐々に増やしていくこと。(知的障害)
・出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること。(精神障害ほか)
障害者差別禁止指針や合理的配慮指針から、障害者に対する差別を防止するという観点を踏まえ、障害者も共に働く一人の労働者であるとの認識の下、事業主や同じ職場で働く者が障害の特性に関する正しい知識の取得や理解を深めることが重要になります。こうした考えの中で、障害者の雇用がさらに拡大し、職場環境においても障害への配慮・工夫がなされていくなど、様々な局面での成果が期待されています。