内閣府が「令和4年度障害者施策の概況」(令和5年版「障害者白書」)を公表
令和5年版「障害者白書」の2つのポイント
2023年6月に内閣府より「令和4年度障害者施策の概況」(令和5年版「障害者白書」)が公表されました。この「障害者白書」は「障害者基本法」に基づき、毎年、国会に提出されているもので、今年で30回目を数えます。
令和5年版「障害者白書」のポイントとして挙げられているのは次の2つです。まず、事業者による合理的配慮の提供の義務化などを含む「改正障害者差別解消法」の施行で、「合理的配慮」が義務化されることを受け、改定された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」をわかりやすく解説し、施行に向けた政府の施策を掲載している点が挙げられます。併せて2023年度からの5年間を対象とした「障害者基本計画(第5次)」における各分野の障がい者施策を掲載しています。
そしてもう1つは、教育、雇用、生活、まちづくり、情報アクセシビリティ・コミュニケーションなど、合理的配慮に関する官民の取り組み、具体事例をトピックスとして紹介しています。
差別解消に向けた取り組みを紹介したトピックスを掲載
「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」の解説では、差別解消推進に関する施策の基本的な方向を示した上で、差別解消措置に関する共通的な事項、行政機関や事業者が講ずべき差別解消措置に関する基本的な事項、国および地方公共団体による支援措置の実施に関する基本的な事項、その他重要事項といった項目を設けてわかりやすく解説しています。加えて「不当な差別的取扱い」とはどのようなケースになるのかを具体的に取り上げたり、「合理的配慮の提供」についても具体例が示されるとともに、合理的配慮の提供義務違反に該当されると考えられる例なども取り上げて、障がいを理由とする差別の解消をめざしています。
また、障がい者の差別解消に向けた取り組みを紹介したトピックスでは、「障害を理由とする差別等に関する意識の現状と変化について」「障害者差別解消に関する事例データベース等の取組」、自治体と事業者の「障害者差別解消に関する取組事例」などを掲載しています。
たとえば、自治体の「障害者差別解消に関する取組事例」の1つに、北九州市の事例が取り上げられています。同市では「障害者差別解消相談コーナー」を設置、そのほか地域協議会における取組状況、周知啓発活動などが白書には掲載され、各地域で障がい者の差別解消を推進するためのヒントとなる取り組みが紹介されています。