内閣府が「令和3年度障害者施策の概況(令和4年版障害者白書)」を発表
6つの観点から障がい者を支援する施策を掲げる
2022年6月、内閣府から「令和3年度障害者施策の概況(令和4年版障害者白書)」が発表されました。それによると、「障害を理由とする差別の解消の推進」「障害のある人に対する理解を深めるための基盤づくり」「社会参加へ向けた自立の基盤づくり」「日々の暮らしの基盤づくり」「住みよい環境の基盤づくり」「国際的な取組」という各分野の施策を取り上げています。
まず「障害を理由とする差別の解消の推進」では、障害者の差別解消に向けた周知・啓発策として、合理的配慮の提供等事例集の作成と活用、2022年3月には障害者の差別解消に向けた理解促進ポータルサイトの設置など、さまざまな施策を行っています。
同様に「障害のある人に対する理解を深めるための基盤づくり」においては、例年実践している「障害者週間」における全国的な広報・啓発活動、国民への理解促進のための取組の推進を掲げています。また、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした取組とレガシーも明記されています。その中ではユニバーサルデザイン2020行動計画に基づく取組の推進、「心のバリアフリー」の拡大・向上、ユニバーサルデザインの街づくりなどの施策が掲げられています。
継続的に障がい者支援を実行するために法改正も実践
そして「社会参加へ向けた自立の基盤づくり」では、障害のある子供の教育・育成に関する施策と雇用・就労の促進施策という2つの柱を設けています。前者では、障害のある児童生徒の教科書・教材の充実や特別支援教育の推進などがあり、後者では障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度「もにす認定制度」の充実や障害のある人への地域における就労支援の強化などを図る方針です。
4番目の「日々の暮らしの基盤づくり」においては、障害福祉サービスの計画的な基盤整備、在宅サービスの充実、発達障害者支援の推進、スポーツや文化芸術の振興などが挙げられています。同時に障害のある人に対する適切な保健・医療サービスの充実を図るために、2022年度の診療報酬改定においては、入院医療の栄養管理に係る適切な評価及び精神疾患患者の地域定着の推進の見直しを実施することが明記されています。
「住みよい環境の基盤づくり」では、障害のある人の住みよいまちづくりと安全・安心のための施策として、移動等の円滑化を一層促進するために改正「バリアフリー法」の全面施行、建築物のバリアフリー化の推進では小規模店舗のバリアフリー化を進める施策などを掲げています。同様に障害のある人の情報アクセシビリティを向上するための施策では、各企業などが自社のICT機器・サービスについてアクセシビリティ確保の自己診断をする取組を推進。また、コミュニケーション支援体制の充実としては、2020年に施行した「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律」に基づき、「手話」「文字」「音声」をオペレーターが通訳することにより、電話で双方向をつなぐ公共インフラとしての「電話リレーサービス」を2021年7月から実施しています。
そして最後の「国際的な取組」では、日本のインクルーシブ防災の実践例をエクアドルに共有し、同国のインクルーシブ防災のモデル検討や研修後のアクションプランの作成を支援しています。
このように、我が国では障がい者が安心・安全はもちろん豊かな生活が送れるように、6つの分野から施策を継続的に行うことで基盤づくりを推進しています。