厚生労働省が、障がい者雇用の除外率の一律10%引き下げを提示
障がい者の除外率制度の対応を議論
厚生労働省の労働政策審議会障害者雇用分科会は、5月10日にオンラインにより、雇用の質の向上や除外率制度に関する対応についての会議が行われたことを、同省のホームページ上に発表しました。
障害者雇用促進法では、障がい者の職業の安定のため法定雇用率を設定しており、現在の民間企業の法定雇用率は2.3%です。ただし、機械的に一律の雇用率を適用することになじまない性質の職務もあることから、障がい者の就業が一般的に困難と認められる業種について雇用する労働者数を計算する際に、除外率に相当する労働者数を控除する制度(障がい者の雇用義務を軽減)を設けていました。この除外率は、それぞれの業種における障がい者の就業が一般的に困難と認められる職務の割合に応じて決められていました。
除外率制度はノーマライゼーションの観点から2004年に廃止されました。当分の間は、経過措置として除外率設定業種ごとに除外率を設定するとともに、廃止の方向で段階的に除外率を引き下げ縮小することとされていました。そこで2004年4月と2010年7月に、それぞれ一律に10ポイントの引き下げを実施しました。それでも現在、障がい者の就業が困難と認められる船員等による船舶運航等の事業(除外率80%)、幼稚園・幼保連携型認定こども園(同60%)などが高い除外率として設定されています。
高い除外率が設定されている業種は10%引き下げ
しかし、今回の労働政策審議会では、2010年から10年近く廃止に向けた動きがない点を問題とし、実態を踏まえた上で目標や今後のタイムテーブルを設定すべきという考えから検討が加えられました。
そして、障がい者の雇用が難しいとされる業種を対象に、除外率を一律10%引き下げる案を労働政策審議会障害者雇用分科会で示しました。同審議会では引き下げの具体的な適用時期などについては、年末から議論をするとしています。ただし、除外率が5%の倉庫業や10%の採石業などは引き下げの対象外となります。いずれにしても、これまで高い除外率が設定されていた業種では、法定雇用率を達成するために新たに障がい者を雇用する必要が生まれることになります。