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千葉県における「障害者就労促進チャレンジ事業」

2017.3.15

事業主と障害者双方の就労に対する意識改革を図る

千葉県では、2011年を初年度に「障害のある人の就労を促進することを目的に、事業主および障害のある人双方の意識改革を図るとともに、障害者就労支援機関と事業主等との関係の構築、事業主および障害のある人の『働く』ことへの理解を深めるために、障害者就労促進チャレンジ事業(以下、チャレンジ事業)を実施」しており、2017年度で7回目を迎えます。この事業目的のもと、チャレンジ事業を主催・運営するのは「千葉県障害者就業・生活支援センター連絡協議会」です。

千葉県の民間企業における障害者雇用者数は、2016年6月1日現在、13年連続で過去最高を更新。ことに知的障害者は前年比5.2%増、精神障害者は同26.3%増と、身体障害者の1.2%増を大幅に上回っています。知的障害者と精神障害者、とりわけ後者の著しい増加は全国的な傾向のようです。

2016年6月1日現在、千葉県の民間企業の雇用率は、前年比0.04%増の1.86%。5年連続で過去最高となったものの、全国平均1.92%を0.06%下回っています。この状況のままでは、今後法改正を迎えた場合、雇用率が現行を下回る可能性もないとは言い切れません。ただし、こうした問題は、千葉県だけでなく全国の自治体に多かれ少なかれ共通するものです。

問題解決に不可欠なのが、「障害者(およびその家族)と事業主の就労に対する意識の変革」つまり、就労意欲と雇用意欲の喚起です。ひと言でいうなら、雇用企業と就労障害者の“掘り起こし”です。冒頭に紹介したチャレンジ事業の事業目的に「事業主および障害のある人の双方の意識改革を図る」とあるのは、以上のことを意味しています。

千葉県の“チャレンジ事業”は全国自治体の障害者就労促進施策に関する一典型

チャレンジ事業の事業内容は次の3点です。

(1)企業等の理解促進
 法定雇用率未達成企業や障害者雇用の経験のない企業等を対象に、「障害のある人を雇用する」ことに対する理解・促進を図る。

(2)障害のある人等の意識改革
 福祉施設の利用者(障害のある人)やその家族に対し「企業で働く」ことに対する意識改革を図る。

(3)短期職場実習の実施
 障害者就労支援機関と連携し、障害者雇用に係る事業主および就労を希望する障害のある人の「働く」ことへの理解を深めるために、就労を希望する障害のある人を対象に短期職場実習を行う。

(1)の「企業等の理解促進」については、「企業向け見学会」と「法定雇用率未達成企業相談会」を実施。前者では、年度ごとにあらかじめ設定された実施6圏域で「特色となっている業種、今後雇用が伸びると思われる業種を見学先企業に選定したい」とし、さらに「参加企業間の情報交換等を積極的に行えるようにしたい」としています。

一方後者では、「障害者雇用率未達成企業に共通することとして、1.知的・精神・身体・発達の各障害特性がわからない、2.障害者が従事できる仕事がない、3.経営者もしくは従業員への理解が得られない、などが挙げられる」としています。でも、これらは情報不足に起因すると考えられるため、「未達成企業の場合は、人事権のある人事担当者(経営者を含む)に障害者雇用に興味を持っていただき、不安や疑問が解消されることが重要」と指摘しています。具体的には「人事権のある人事担当者をターゲットに、障害の特性、業務の切り出し方法、従業員等への理解促進・啓発方法、助成金や雇用支援施策の説明等を行い、雇用までのプロセスと雇用後の定着支援に至るまでの一連の流れをご理解いただく会を実施する」ということです。

(2)の「障害のある人等の意識改革」については、「企業等の理解促進のための企業見学会・意見交換会と同様に、単に障害者が働いている現場を見学するだけではなく、見学後に企業担当者はもとより、障害当事者の方のご意見などを伺う機会を設け、意見交換会を行いたい」としています。

意見交換会に関しては「参加した方が『自分にもできるかもしれない』『就職したい』と思えるよう工夫を凝らし実施する」方針です。

千葉県の民間企業の雇用率は、既述のように5年連続で過去最高を記録。これは、チャレンジ事業スタートの翌年からのものです。多くの自治体の民間企業の雇用率は、数字に多少の差はあるものの確実に伸びています。その要因の大きなものとして挙げなければならないのが、自治体によるきめ細かな施策の実施です。千葉県のチャレンジ事業は、そうした取り組みの一典型なのではないでしょうか。


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